光線療法について
当院ではナローバンドUVBとターゲット型エキシマライトを使用しております。
これら光線療法の作用機序は
- サイトカイン・ケモカインなどの液性因子への影響
- 接着分子などの細胞表面の分子の発現変化
- 病因となる細胞のアポトーシス誘導
- 制御性T細胞の誘導
などが考えられています。
難しいですが、炎症に関わる細胞や因子を炎症を抑える方向に動かしてくれる治療といえます。
保険適応となる疾患は、乾癬、アトピー性皮膚炎、尋常性白斑、円形脱毛症、掌蹠膿疱症、類乾癬、菌状息肉症、悪性リンパ腫、慢性苔癬状粃糠疹です。
ナローバンドUVB

日光にはUVA(400~315nm 長波長紫外線)、UVB(315~280nm 中波長紫外線)、UVC(280nm未満 短波長紫外線)が含まれており、その中で308nm以上313nm以下の中波長紫外線が乾癬の治療効果が高いという事がわかっておりました。その中でも311±2nmの波長がさらに治療効果が高いという事がわかり、その狭い領域の波長を有する紫外線治療器がナローバンドUVBです。
当院ではシネロン・キャンデラ社のダブリン7を使用しております。
立位のまま半身ずつ短時間に紫外線をあてる事ができます。
ターゲット型エキシマライト

308±2nmの波長を選択的に高出力で出す紫外線治療器です。
局所的に照射できるので健常部への紫外線照射を防ぎ、病変部のみに照射する事ができます。また出力はナローバンドUVBの約180倍あるため、照射時間も数秒~10数秒と短縮できます。
ナローバンドUVBと比べて、やや紅斑が発現しやすいものの、乾癬に対してより効果が高く、光強度が高く、照射時間が非常に短いのが特徴です。
当院ではジェイメック社のVTRAC(ヴイトラック)を使用しております。
ナローバンドUVBやターゲット型エキシマライトを受けられない人
- 皮膚がんの合併または過去に皮膚がんの既往がある人
- 皮膚がんの高いリスクがある人(色素性乾皮症、過去にヒ素の曝露や放射線照射歴がある)
- 光線過敏の人(色素性乾皮症、白皮症、ポルフィリン症、光線過敏のある膠原病など)
ナローバンドUVBやターゲット型エキシマライトを避けた方がよい人
- 免疫抑制剤内服中の人
- 白内障、光線増悪性自己免疫性水疱症の人
- 10歳未満の人(ターゲット型光線療法は除く)